書評「ソリューションアーキテクト-アソシエイトの教科書」は、AWSを学ぶ最初の1冊に最適
こんにちは、ちゃだいん(@chazuke4649)です。今日は最近出た、AWS初心者にはとても心強い本を紹介します。
その前に、
私はエンジニアとしての経験や知識が抜群に浅いので、当ブログにはめずらしい非エンジニアやIT初心者、これからAWSのことを知りたいと思っている心の友に向けて、メッセージを発信していければと思います。
なので大半のそうでない方には取るに足らない話かと思いますが……「昔はそんなこともあったかもなあ」と孫でも眺めるように見守っていただければ幸いです。
そんな中、今回紹介するのは「徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書」という資格対策の本です。
徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書
そもそもAWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトとは
AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト(略称:SAA)は、AWSの資格の中でももっとも代表的かつ人気の資格です。どれくらい人気かというと、日経xTECHの記事によると人気IT資格No.1になったようです。 「人気沸騰のIT資格、取得したい資格ランキング 2018(日経 xTECH)」
最も多かったのは「AWS認定各種」で、1004人の回答者のうち285人が取得したいと回答。回答率は28.4%で、回答者の4人に1人以上が取りたい資格と考えている。
また、アメリカでもIT研修企業調べの「稼げる認定資格 Top15 2018年版」では2位だそうです。
しかしながら、これほど人気資格であるにも関わらず対策書籍があまり無いというのが現状。理由はシンプルで、アップデートの頻度がとても早いから。そのスピード感はクラウドならではですし、逆にそれほど成長・拡大していることの証でもあります。
とはいえ、受験者からすると「とりあえずこれ読んでおけば大丈夫!」みたいな1冊がないのは辛いもの。厳密に言うとSAA受験者にとって唯一の対策本が1冊ありましたが、その内容は2016年8月のもので、情報の古さが否めません。むしろ、その大半のサービスが改善されているので鵜呑みにすると逆に危険。
そんな中、つい最近その後継者とも言える対策本が発売されました。それがこの本です。
ある程度AWSの知識や経験がある人には取るに足らないものですが、これから学ぼうとしている人にとっては、初めの1歩として最高の1冊であると感じました。
ビギナー目線でそう感じた理由をお話します。(余談ですが、私は現在唯一この資格だけ持っており、基礎知識ゼロから始めたので相応に苦労はしました。)
最初の1歩に最適な理由を3つ
① ざっくりAWSの概要を掴むには最適!こってりでもあっさりでもない適量240ページ
Day1 基調講演 | AWS Summit Tokyo 2018より引用
(悟空ならこれをみてどうせワクワクするんでしょうが、これから学ぼうとする一般人は目眩がするのでは?私はそうでした)
山より高く海より深いAWSの世界。そして宇宙のように日々膨張し続けています。そんな果てのない世界に旅立つのですから、旅の始まりで心を折っていても仕方がありません。
まずは、とりあえずまるっとアウトラインをそれとなく掴むことが効果的と思われます。そういえば、効率的な勉強法としてもこんな記事がありました。 「脳科学が教える「効率的に学習する方法」6つのポイント」
全体像を頭に入れておけば、細部の情報を取り入れた時に、関連づけて覚えやすくなるというわけです。
いきなりディテールの底なし沼にはまらないように、まずは概要、まずは全体像を合言葉に、知らない単語に臆せず、ズカズカと突き進んでみましょう。(個人の経験からすると、それくらいの面の皮の厚さがないと、とてもではないが前になんて進めなかったというのが本音です)
そして、1冊読み終えた頃には、なんとなく理解できた!という1つ目の目標地点にたどり着いた自分をほめちゃってください。
② とはいえ必要な周辺知識。ほどほどに気が利いていてGOOD
例えば、データベースの知識ほぼゼロだった身からすると、データ構造の違いなどネットで調べると小難しい記事だらけ。私のようなど素人にはつらみしかないという感じでしたが、この本ではあっさりめでこんな表が載ってました。
[P55_1-7より引用]
(へえ、データってそんな種類があるんですねえ。ここで見慣れた単語「Excel」を発見し少し安堵する)
また、個人的にはよく比較されるEBSとインスタンスストアの違いについて、そもそも付いている位置が違う点をうまく表現したイラストはわかりやすいと感じました。
[P113_2-4より引用]
(なるほど、インスタンスストアはホストコンピュータの中にあって、EBSは完全に外からくっつけてるのか。)
③ 高い編集スキル
1つ目の参考書は、その編集方法も重要です。なぜならそのカテゴリの分け方も考え方のベースになるからです。その点、この本は優秀です。少なくとも私が本屋で斜め読みしてきた中でも、上手に整理されている印象でした。
目次を見てみましょう。
- 第1章 AWSサービス全体の概要
- AWS well-architected フレームワーク
- AWSインフラストラクチャの概要
- アクセス制御サービス
- ネットワークサービス
- コンピューティングサービス
- ストレージサービス
- データベースサービス
- データ通知・連携処理サービス
- 構成管理サービス
- 運用管理サービス
- 第2章 AWSにおける高可用アーキテクチャ
- 第3章 AWSにおけるパフォーマンス
- 第4章 AWSにおけるセキュリティ設計
- 第5章 AWSにおけるコスト最適化
- 第6章 AWSにおける運用管理
第1章のみ、各節も記載しました。なぜそうしたのかでいうと、私の知っている限りこのサービスカテゴリがとてもわかりやすかった印象です。案外今までの入門書籍では、サービスの固有名とカテゴリ名が混在し粒度感がまちまちだった印象……。他、2〜6章の切り口も秀逸で、これはwell-Architectedの観点に近く理解が深まるのでは。
ざざっと各章のポイント(主観)
第1章 AWSサービス全体の概要
ここでは、AWS基本のキが60ページ近くでぎゅっと詰まっています。超ド定番のサービスばかりですが、ほんとに初めての方からすると独自の名称が頻出するので、ひや〜と思うかもしれません。でもここはふんばって読み切ってください。この章を読み終えれば半分くらい終えたも同然だからです。イラストや表も要所で出てくるのが理解を促進してくれます。
第2章 AWSにおける高可用アーキテクチャ
私のような初心者からすると、次々と飛び出てくる新出単語をちぎっては投げちぎっては投げの連続です。1つの単語の意味を深く理解しようとすると、様々なブログや本を斜め読みし、気づけば1時間くらい経ってるのはザラ(結局1つの単語を知るには別の概念の理解が不可欠だったりしてそもそもスパイラルにハマる感じです)。
私は最初、「可用性」と「冗長化」「耐障害性」の違いにピンときてませんでした。その点、この本にはそういったAWS以前のIT用語の解説もしているため、とてもありがたく感じます。
第3章 AWSにおけるパフォーマンス
ここではその強力なサービス群のパフォーマンスや性能、提供力にフォーカスしています。素人的に嬉しかったのは、データベースの章。そもそもストレージとデータベースの違いがよくわかってなかった時に(両方ともデータを保存する場所だよね?的な)データベースとはどういった機能を持っているのか、そもそもどんなデータの持ち方があるのか、のような前提知識にも軽く触れられている点が親切でした。
第4章 AWSにおけるセキュリティ設計
主観満載ですが、IT初心者がまず最初に拒否反応が出る分野、セキュリティ(専門分野の方ゴメンナサイ……)。
避けて通れるならと思う人もいると思うのですが、どうやらITの世界では「攻めは最大の防御なり」なんてことはほぼ無く、攻めてる会社ほどセキュリティにも積極的に取り組んでいるのではないでしょうか。そんな分野で、AWSではどういった方法や観点でセキュリティを対策しているのか、できるだけ平易にまとめられています。
第5章 AWSにおけるコスト最適化
AWSのもっとも強い部分の1つでもあるコスト最適化の手段として、要約されています。
個人的に興味深かったのが冒頭の小話で、米国IT調査企業の調べによると、
クラウドサービスの利用に課金されている内容のうち、約4〜5割は不用意に使われている。
全然ダメですねw 半分近くムダ使いしているとは驚きですね。
とはいえそれが許されている状況なのは、絶対値がそもそも安いから?とも思ったりします。クラウド先進国であるアメリカでこの状況なので、日本なら更に改善の余地があるのかなあと思ったりもします。
第6章 AWSにおける運用管理
運用に関しては、特に運用のコード化・自動化について特筆されており、ぶっちゃけるとCloudFormationのことがほとんどです。腐ってもSAA対策本なので、結果的に試験でよく出る分野ごとにボリュームが按分されていると思ってよいでしょう。
終わりに
[P236,237_索引より引用]
(索引の単語量が多いのも、初心者には地味に嬉しいポイントだったり)
以上、初心者目線で思ったことを書いてみました。私としては自分がAWS勉強し始めた頃にあったらよかったのに!と思うほど、わかりやすく感じました。 これから始める人は、めちゃラッキーだと思うので存分に活用ください! ではでは。
徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書